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アスレチックブギー / ATHLETIC BOOGIE 【アスレチックブギー】 跳ねまわる高速リズムのアトラクション!振り落とされずについてこれるかな? アスレチックブギー / ATHLETIC BOOGIE ハイライト発生箇所 収録作品 関連リンク ポップンミュージック Sunny Parkで登場した楽曲。担当キャラクターはビット(19-2P)。 個人解禁イベント「ポップンウォーカー」で登場したイベント隠し曲(追加配信曲)。 ATTRACTION! / 96 BPM 248 新難易度 EASY NORMAL HYPER EXTRA × 22 39 47 ハイライト EASY NORMAL HYPER EXTRA 3 3 3 3 公園にある遊具の1つであるアスレチックをモチーフにした、高速のシャッフルビートによる96のインストナンバー。製作当初はジャンル名を先に考えてから曲名を決めたというエピソードがある。色々な仕掛けが入り組んだアスレチックだけあって、イメージに合わせてバックで鳴っているブギーのリズムに合わせたギターリフとドラムに合わせ、高音域のシンセとギターソロをメロディの主体にしている。途中のギターソロは96っぽさのあるプログレ要素が含まれているような。 ブギーと付くだけあって独特のハネリズムと高いBPMがスコアを出しづらくさせる要素。ハイパーは2個同時押しとハネリズム特有の乱打、階段が目立つ。特に中盤のギターソロに相当する跳ねた「ハ」の字型の2個同時押し配置は、8分間隔で手を回転させるように動かせば一応繋がる。EXは独特のリズムを左手で処理させる配置が、リズム慣れしていない人には少々辛いが、休憩箇所が少ないことを除き新Lv47では極端な難所はない。ただし後半の螺旋気味の階段の後にあるスライド階段→高速乱打の箇所には注意。HやEXの階段は左上がりばかりなのでミラーの使用も考えられる。 ハイライト発生箇所 番号 5Buttons / EASY NORMAL HYPER EXTRA 1 2 3 収録作品 AC版 ポップンミュージック Sunny Parkからの全作品 CS版 関連リンク 96#? 楽曲一覧/ポップンミュージック Sunny Park
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読みは[かみきしろ なおこ] 深陽学園の女子生徒。 性格は明るく、感情をストレートに表現するタイプ。特に恋愛関連は感情にとても正直で、根は"いいひと"なのだが誤解されやすい。 また時々難しいことを考える難解な一面もある。その性格のせいでクラスでは浮いてしまい、同性で友達といえるような存在は霧間凪しかいなかったようだ。 年下の田中志郎と付き合っている。弓道をやっている田中を見て一目惚れ、紙木城から告白した。彼女曰く田中志郎は"大したもの"みたいな気がしたという。 エコーズを見つけ、彼を深陽学園内で保護していた。エコーズは本来自分から喋れず、意図を伝えられないが、この時何故か紙木城には彼の言ってることが理解できたそうだ。MPLS能力かどうかは不明。 曖昧ながらもこの時代、虚空牙の目的を唯一聞いた人類でもある。 マンティコアと早乙女正美を見かけ、その時エコーズの名を口にしたため恐慌状態にマンティコアに殺される。 その存在と死はエコーズの報告に、そして霧間凪の決意に影響を与え、木村明雄を裏の世界へと導いた。 ブギーポップ曰く「紙木城直子は、彼女の使命を立派に果たした」。 人を呼ぶ時に横文字っぽい発音で呼ぶ。竹田啓司→啓司(ケージ)。新刻敬→敬(ケイ)。宮下藤花→藤花(フジ)ちゃん。木村明雄→木村(キム)君。田中志郎→志郎(シロ)君。霧間凪→凪。 木村明雄と仲が良かった。本人達は否定しているが、周りからは恋人にしか見えなかったようだ。 母子家庭で小学生時、母親はクレーマーだったそうだ。 小学4年生の時に、転校生の霧間凪とすぐに意気投合し、心から共感しあえる仲となった。この時紙木城が凪を信じたことが、その後の凪の性格を形作っている。 ヴァルプルギスが霧間凪をアトランティス領域に陥れたときは、過去の紙木城が凪を叱責し、励まし、過去から凪を引き上げて、再びヴァルプルギスとの戦いの場へと導いた。 霧間凪に言わせると「オレもおまえも、炎の魔女なんかは結局、直子ひとりにかなわない程度のものなんだ。オレたちの戦いなど、その強さ弱さの競い合いなど――直子がオレにしてくれたことに比べたら、どーってことないレベルの話に過ぎないんだ」 詳しいまとめコラムはこちら http //www38.atwiki.jp/3ofperfectpair/pages/165.html 「夜明のブギーポップ」の「ブギーポップの誕生」にも登場している。スケアクロウにたいし、凪の味方になってほしい、と依頼する。これによりスケアクロウは霧間凪の命を救い、また彼の行動の結果としてブギーポップも誕生している。 コメント ブギーポップは笑わない ブギーポップシリーズ ヴァルプルギスの後悔 人名
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蒼星石のSS 個人的な蒼星石のSSになります。 たまに気が向いたら更新します。(ほぼ無理 ┌──┐ i二ニニ二i i´ノノノヽ))) Wリ゚ -゚ノリ 次はどうしよう… __/((┃)) i_カリカリカリ / /... ヽ⌒) (,,ノ \\/ /_______ ヽ\ 長編 短編
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【幸】 新・永続箱庭諸島2の平和同盟 新規登録の島に片っ端から声をかけ同盟員を増やした。 まとまりの無さや下位の島が多い事など不安要素が残る。 メンバー コウダイ(だいこん島) 盟主 ベール(非常口島) 失笑のブギーポップ(ブギーポップ島) ガーグァ(ガーグァ島)
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SS ショートストーリーでもスクリーンショットでもご自由に クロ騎士物語書いてくれているので、触発されてページ用意してみました クロ騎士物語 Eros! レスキュア5 仮面ライダー ゲレ ~MaskedRider GeRe~ ここのページを編集
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『赤ん坊を待ちながら ④』 静は校庭を見た。 眼下に広がるそこには、帰途に着く生徒たちの群れ、日陰にたむろして間近に迫る期末考査に備えてヤマを確認しあう者たち、 来たる地方大会へ向けて最後の特訓を行う野球部員──なんということのない、ごくごくのどかな学園風景しか見えなかった。 ブギーポップの言うような『怪物』の影など、どこにも見当たらない。 「君はこの世界をどう思う?」 黒帽子の怪人はいきなりそんなことを聞いてきた。 「ど、どうって……」 「よく分からないかい?」 「……うん、まあ」 訳もなく、静は恥ずかしく思う。なにか気の利いたことでも言えれば良かったのだが、なにも思い浮かばなかった。 考えなしの浅薄なやつだと思われただろうか。十和子ならどう答えただろう。 そんな静の考えを読み取ったのか、ブギーポップは肩をすくめてさらに言う。 「なにも恥じることはない。『よく分からない』、つまりこの世界に対する態度が決定していないということは、それだけ多くの可能性を残しているということだ。 もちろん、いつまでも態度を保留し続けることは誰にも出来ない。いつかは必ず、自分と世界のありようを整理する必要に迫られるときが来る。 問題なのは、『そのとき』になって自分がどういう立場を取るか──全てを諦めてしまって『世界の敵』になるか、 それとも『生きていく能力』を絶えず試されるような過酷な試練(ディシプリン)に身を置き続けるか、 或いは、いまだこの世に顕れていない、名も無き『可能性』に全身全霊をかけて挑むか──ということなんだと私は思うね」 そのやや難解な言い方に、静は眉根を寄せる。 さっぱりと言っていいほど理解できていなかったが、それでも──その言葉にはひとつの『正しさ』が込められているような気がした。 「まあ、結局は、自分に出来ることをするしかないのさ。失敗や挫折を繰り返し、そうしたものを通じて己の可能性を試していく── 自分になにが出来るか、なにが出来ないかを見極めながらね。みんなそうやって生きているんだ。ただ待っているだけじゃ、なにも変わらない」 「あなたは──」 「うん?」 「あなたは『自分の出来ること』ってやつを分かってるの?」 「私かね? 私の使命はただひとつ──『世界の敵』を倒し、『崩壊のビート』を止めることさ。その他にはなにも出来ない」 風が静の首筋を撫ぜ、わずかな冷涼感がもたらされる。 ブギーポップのマントがばたばたとはためいていた。 その格好は暑くないのだろうか、と心配になるが、黒のルージュが映える白い顔には汗ひとつ浮かんでいない。 「世界はとんでもなく微妙なバランスの上に成り立っている。それは一昔前の東西冷戦のようなダイナミズムに限ったものではないんだ。 それどころか、『崩壊のビート』は常に身近にこそ潜んでいるものだ。 何気ない日常の会話の中、ささやかな躓き、街の片隅、学校の屋上── 『それ』を越えたら二度と後戻りできないような、そういう一線が、この世には満ち溢れているんだよ。 だから、私のような『泡』が存在を許されているのだろう。『世界の敵』の敵として、それを打ち倒すためにね」 「倒すって……戦っているの? その、世界の敵、っていうのと」 「暴力に頼ることもしばしばある。どうしようもなく歪んだビートを停止させるには、時として必要なやり方だ」 「誰かに頼まれてやってるの?」 「まさか」 「頼まれもしないのに、世界の敵と戦ってるの? なんで?」 「なんでとは随分だな。そうしないと世界の破滅だからだよ」 「じゃあ、その、つまり、いわゆる人類のため、とか?」 「そうさ。我ながら損な役回りだとは思うがね」 「……うーん」 要領を得ない問答の末、静は悟った。 これは自分の手には余る、と。 仕方ないので、静はそれ以上考えるのを止め、そっくりそのまま受け入れることにした。 秋月貴也が『世界の敵』と戦う『ブギーポップ』だと主張するなら、それでいいのではないかと思う。 その認識を改める必要が生じたなら、それはそのときに考えればいいことである。 それに──。 (なんかそういうの、ちょっと素敵かも) 世界を救うために人知れず戦う孤独のヒーローというのは、とてもロマンチックなように思えた。 そんな甘ったるい思考を、ブギーポップの涼やかな声が打ち破る。 「今度は私のほうから聞いてもいいかな?」 「あ、ど、どうぞ」 「君はどうしてここに来たんだい?」 「それは──」 痛いところを突かれたと思う。 あの時見た黒い影を追って屋上まで昇ってきたのは、ただの好奇心とかそういうのでは全然なかった。 「──待ってるの」 「なにをだね?」 ブギーポップの目的を静が問いただしていたさっきとは、まるで真逆の構図だった。 だがもちろん、静が待っているのは『世界の敵』ではない。 そんな、世のため人のためといったものとは大きくかけ離れた、極めて個人的な目的だった。 「赤ん坊」 「ふむ?」 「昔、この街に捨てられた赤ん坊がいたの。どうして自分は捨てられたのか、彼女はずっと考えていた」 後を続けるかどうか、一瞬迷った。だが、ここまで来たら全部話してしまいたかった。 「その赤ん坊は奇妙な能力を持っていたわ。──『だから』、だから捨てられたんじゃないかって、彼女は考えている。 普通じゃなかったから。他の人と同じような赤ん坊じゃなかったから。だから、捨てられた」 うつむき加減だった顔を持ち上げ、真正面からブギーポップを見据える。 「──これ、笑えるかな?」 ブギーポップはそれに首を振った。 その仕草はどこか悲しそうな感じだった。 なんでもないことのように笑い飛ばしてくれるのを心のどこかで期待していた静だったか、 「──世界は誤りに満ちている、私はそう思う」 ブギーポップは笑わない。 「人間が生まれて最初に出会う『敵』とは他でもない『親』だ、という見解がある。 親は自分の思い通りに子供を処し、子供は親の庇護を得るためにそれを受け入れなければならない、と。 簡単に言えば親の躾に適応できない子供は死に至るということさ。だがそれは──究極的に底のない発想だ。 この世界に蔓延する悪意を赤子にまで背負わせる、情け容赦のないその考え方を、私は認めない」 声音や表情からはまったく伺えないが、その言葉は非常に苛烈なものだった。 「も、もしかして怒ってるの……?」 「私はなにかに対して怒ることは出来ない。決まりでね」 そうは言うものの、言葉の端々から『許せない』という雰囲気を漲らせているような気もするのだが、 ブギーポップにとってそれは『怒った』うちには入らないのだろうか。 「話の腰を折って悪かったね──それで?」 促されるままに続ける。 「……成長した彼女は、わずかな手がかりを頼りに再び街に戻ってきたの。そのことを確かめるために。 本当の両親に会うために。捨てられたその理由を、捨てられた赤ん坊の面影を探すために。 だから……だから、彼女は待ってる。捨てられた過去が浮かび上がってくるときを」 「だから、自ら怪奇に首を突っ込むというわけだね。 平穏でなんの変哲のない世界に身を置いていては、その見失った運命の糸を手繰り寄せることは出来ない、ということかな?」 「──うん」 ブギーポップは深く、長く息を吐いた。それは吐息というよりはむしろ「フーッ」と口で言ってしまっているのに等しかった。 「なるほど──君にとっての避けがたい『戦い』とは、自分自身が相手のようだね。それはそう、まるで『カーメン』に挑む者のように、ね──」 文脈的に意味不明の単語を吐かれ、静は目を丸くする。 「……ラーメンが、どうしたの?」 「いや、なんでもない。ただの戯言さ」 静が理解できなかっただけで、それはもしかしたらブギーポップ流のジョークで、自分の気持ちを和ませてくれようとしたのだろうか。 その可能性はとても低い気がするが、それでもそう思うと少しおかしかった。 「──こんなこと話したの、あなたが初めて」 「それは光栄だね。君は友人にそうしたことを話したりしないのかい?」 またしても痛いところを突かれる。 「い、言えないよ」 「なぜ」 「だって……こんな話しても、きっと負担にしかならないと思うから。その人、とても優しくて、つい甘えたくなっちゃうような人だから」 そう言うと、ブギーポップは大仰に肩をすくめてみせた。 「ははあ、なるほど。私は優しそうには見えなかったわけだね。君の言うことなど思い切り聞き流す奴だと」 「え……そういうわけじゃ、ないんだけど」 こいつは拗ねてるのか? と静は思うが、ブギーポップはどこまでも真面目な顔をしていた。 「いや、おそらくその通りだ。私は『世界の敵の敵』だからね。君の個人的な悩みに対して他人事であることには自信がある」 「そんなこときっぱり断言されても困るよ……」 半眼でそう呟く静だった。 その時、奇妙な音が周囲に響き渡った。 それは学園施設の至るところに設置されているスピーカーの共鳴音だった。 きぃぃん、という甲高い音の後に「ばしゅ」というなんか気の抜けた感じの、回線の接続音がした。 『あ、あー、テステス。五十嵐先生、これもうしゃべっていいの?』 割れたその声を聞いて、どこか夢心地だった静は我に返る。 『お、繋がってるわ』 「……十和子?」 『えーと、中等部の李小狼くん、木之本桜さん、これを聞いたら今すぐ放送室まで来なさい。 繰り返します。中等部の李小狼くん、木之本桜さん、これを聞いたら今すぐダッシュで三分以内に放送室まで来い。以上』 なんとも倣岸不遜な内容を一方的に流し、マイクの向こうの声は途切れた。 「な、なにやってるの十和子……」 誰にとなく訊いてみるが、その場にいない十和子に答えられるわけもなく、またブギーポップが答える道理もない。 ために、静の疑問は沈黙を以て返された。 「わ、わたし、もう行くね」 「今のが君の『優しい』友達かい?」 「う、うん」 「私がよろしくと言っていたと伝えておいてくれないか」 朴念仁丸出しのブギーポップにしては、分かりやすくて気の利いた冗談だと思う。 「分かった」 一度は塔屋のドアに向かいかけた静だが、 「……また、会える?」 そう聞くと、素っ気無い首肯で応えられた。 「しばらくは、放課後ここで見張りを続けるつもりだ」 「じゃあ、またね。世界を救うお仕事、頑張ってね」 今度こそドアをくぐった背後から、声がかけられた。 「静・ジョースター」 「え?」 「私は『世界の敵』と戦うことが出来る。だが、世界を救うことなど決して出来ない」 予想外の告白に、静は後ずさって塔屋から首を出す。 世界の滅びを食い止めることが世界を救うこととイコールでないのなら、いったいなにが『救い』なのだろうか。 「なぜなら、私は怒りも喜びもない、自動的な泡だからだ」 振り仰ぐ給水タンクの上には、もはや誰もいなかった。 「──世界を救うこと、それは君たちの仕事だ」
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『液状と透明 ⑦』 養護教諭、五十嵐初佳は不機嫌だった。 自分の根城である保健室のボロいデスクにどっかと足を投げ出して座り、一応は勤務中であるにも関わらず 缶ビールの口を片手で開けて琥珀色をした発泡性の液体を喉に流し込む。 もう片方で手には有害物質を撒き散らしつつ燃えるヴァージニアスリムがあった。 それを咥えて待つこと数秒、ぷはーっ、と威勢よく煙を吐き出し、ちらりと視線を奥のベッドへ向ける。 三つあるベッドのうちの一番奥が使用中だった。 カーテンの引かれたその向こう側から、か細くすすり泣く声が聞こえる。 淡いピンク色の布地に映る影は、ベッドとそれに横たわる影、その側に置かれた椅子から身じろぎせず座り続ける小さな影。 床に伏せる少年とその身を案じて泣く少女の姿を想像して、初佳の胸がちくりと疼く。 (いたたまれねーわ、実際) それはそれとして、あの二人仲がいいなあ、青春してるなあ、羨ましいなあ、 保健室で看病ってどんだけ据え膳なシチュだよ、などと不謹慎なことを頭の片隅で考える。 そんな不健全な妄想もその辺りに差し掛かったところで、初佳は自分の不機嫌の源に思考が及ぶ。 「ったく……貴也のやつ最近全然構ってくんないじゃん。 いや、忙しいのは分かってるけどさ、あたしだって人間なわけだし、愚痴ぐらい出てくるっつーの」 半分以上酔っ払いの据えた目で、ぶちぶちと小声で呟く。 「ぅあー、最近貴也としてないなあ、セッ──」 勤務中の養護教諭にあるまじき発言がその口から飛び出さんとする刹那、 「五十嵐初佳」 いきなりの名指しで、初佳は椅子から転がり落ちる。 どしゃ、とけっこうすごい音がした。 「いちち……」 打った腰を撫でさすりながら身を起こす。その目の前に佇立する黒マントの怪人がいた。 「貴也……じゃなくてブギーポップ! ……だよね?」 貴也──或いはブギーポップは無表情に首肯する。 「『今』はそっちだ」 「……今の、聞いてた?」 「なにがだね?」 いや、聞いてないならいい、と口の中でごにょごにょ不明瞭に発音しながら立ち上がる。 ふと、ブギーポップの抱えた大荷物に気がついた。 「──ブギーポップ」 「なんだい」 「なに、これ」 「見ての通りだ」 「見ての……」 それは、上半身が下着姿の女生徒だった。意識を失っているらしく、力の抜けた感じで抱えられるままになっている。 「そんなことより……申し訳ないがベッドを貸してもらいたい」 「……なんで?」 初佳の返事を待たずに、手前側のベッドを選んで女生徒を横たえる。 そして振り向き、極めて真面目な口調で。 「大した事じゃない、ちょっとした身体検査さ」 「しっ……」 「なにか薬品でも仕込まれていたり、催眠暗示でも掛けられていたらコトだからな」 「クスリ……催淫……?」 「おや、どうしたね? 私の目にはなにか君が怒っているように見える」 「で、出てけーっ!」 手近にあった空き缶を投げつける。 てっきり余裕でそれをかわすと思っていたのだったが──、 「え? ……って、アンタ!?」 ぽす、と力ない音で帽子に当たり、ずり落ちる筒状の布切れの下からそいつの真赤に濡れた額が露わになる。 「ああ……ついさっき、とてもいい蹴りをもらってしまってね」 まるでなんでもないことのように言うそのそばから、どろっ、と赤い液体が垂れる。 床に座り込んだままだった初佳は、バネ仕掛けのように慌てて立ち上がって駆け寄る。 散乱したゴミを蹴飛ばし、パイプ椅子を引き寄せる。 「座りなさい!」 「しかし、私よりも──」 「どう見てもアンタが先でしょうが!」 有無を言わせず引き寄せる。 ガーゼで血を拭いながら、傷口を改める。額を切ったのかと思いきや、頭皮の傷だった。 出血の割には大した傷ではないと知り、やっと安堵。 ざっくばらんに消毒液をじゃぶじゃぶ掛ける。 「ホントにもう……アンタはいつもこんな無茶ばっかり。あたしの心配なんか知ったこっちゃないってわけ?」 ブギーポップは黙ってされるがままになっていたが、やがて静かな声で詫びる。 「君には申し訳ないと思う。つまり、このように秋月貴也の身体に傷をつけてしまうことについてだが」 「馬鹿たれ」 デコピン。 「何をする」 「あたしはアンタの心配をしてるのよ」 沈黙──やや長い空白のあと、なんの感情もなさそうな声で返答。 「そうか……それは光栄だね」 応急処置が済んだのを見計らい、ブギーポップは先ほどの女生徒の元へ歩み寄ってなにやらごそごそやる。 なんかいかがわしいことしてんじゃないでしょうね──と思った矢先に、意外と早い時間で戻ってきた。 「特に問題はないようだ」 「あ、そう」 再び、わずかな沈黙が訪れる。今度は、初佳がそれを破る。 「今度のは……手強いの?」 「いつだって手強いさ。私は常にギリギリの戦いを強いられている。『世界の敵』とはそうしたものさ。 なぜなら、『世界の敵』自身が既にギリギリで、後がない──と思っているのだからね」 「……あの子らも、そうだっての? だからいつでも殺せるように近くで張ってるってワケ?」 初佳の視線の先には、カーテンの引かれた二つのベッド。 「いや……まだ分からない。注意深く監視する必要はあるがね」 「そうやってなにもかもアンタが抱え込む必要はないんじゃないの」 ブギーポップは答えずに黙秘を保持していたが、散らかり放題のデスクに目を留めた。 「余計なお世話だが、アルコールと煙草は控えたほうがいい。 君の健康に差し障ることはもとより、将来子供を生むときになって母子共々に悪影響を及ぼす」 「は? アンタには関係ないでしょーが」 「関係ないと言えばその通りだが、秋月貴也は仮にも私の『本体』だ」 その一連の言葉の裏にある、幾つもの前提条件に思い至るや、さっと初佳の顔に赤みが差す。 「な、なにを……」 初佳の肩がわなわなと震えてるのに気付かないのか、気付いてて言うのか、なおも続ける。 「なんだね? もしかして秋月貴也との関係は『遊び』──というやつなのかね?」 ぷつん。軽くキレた初佳のチョップが炸裂する。 すると、 「痛っ!」 ブギーポップが情けない悲鳴を上げた。 「な、なにするんだよ初佳さん」 いや、それはもはや冷酷無常な殺人鬼ブギーポップではなく──。 「あー、と……貴也?」 「そうだけど……」 「あ、クソ、消えやがった! 誰が遊びだ! 馬鹿にしてんじゃねーわよ!」 怒りの持って行き場を無くした初佳が、貴也少年の頭を掴んでごしゃごしゃシェイクする。 「うえええ……」 やはり五十嵐初佳は現在進行形で不機嫌で、その訳が分からず目を回す秋月貴也だった。 「……はあ、アホらし」 ひとしきり暴れて冷静さを取り戻した初佳は、乱れた髪を肩の後ろに流す。 「ねえ、初佳さん?」 「ん?」 「また……ブギーポップが『出た』んだね」 自分の奇妙な扮装に目を落とし、貴也がどこか暗い表情で呟く。 初佳はなにか言葉を掛けようと口を開くが、 「…………」 言葉に詰まる。 『世界の敵』と戦う代償としてその間の記憶を持ち得ない、いわば世界の生贄として捧げられた少年になにを言うべきだろう。 「あー……、貴也」 「なに?」 「もうちょっとであたしの仕事終わるから、そしたら一緒に帰りましょう。それまでちょっと寝てなさい」 「うん」 あのブギーポップとは似つかぬ素直さでこっくりと頷く。 「あ、ちょっとストップ! そこダメ!」 「え?」 制止するにはやや遅く、手前側のベッドのカーテンを引き開けた貴也は、そこに転がる下着姿の少女を見て耳まで赤くする。 「ジ、ジョースターさん……?」 呆然と漏れる貴也の言葉、初佳はそれを聞きとがめ、 「知ってるの、この子?」 「う、うん。静・ジョースターさん……同じクラスの……転校生……」 「アイツ、そんなこと言ってなかったわよ……いや、いくらアイツでも何でもかんでも知ってるってワケじゃないってことよね……」 「あの……初佳さん?」 一人でぶつぶつ言ってる初佳を不安げに見つめる貴也に、 「よし、分かったわ!」 ぽん、と拍手の後にびしっと指差し、 「な、なにが?」 「アンタ、この子と仲良くなりなさい!」 「はあ?」 戸惑う貴也に歩み寄り、その肩を抱いて顔を急接近させる。 「考えてもごらんなさいよ。名前からして帰国子女かなんかでしょ? きっと一人ぼっちで寂しい思いしてるに違いないわ」 「いや、友達できてたみたいだけど」 「話に水を差すな」 理不尽な叱責。だが反論は許されず、うなだれるしかない。 「で、さあ。そこにアンタが優しい言葉の一つでもかけてみなよ。もう乙女の純情ハートがコロっとイチコロで木っ端微塵よ」 「木っ端微塵……?」 意味の分からない比喩に首を傾げつつも、話の文脈は理解したらしく、 「クラスに馴染めるよう友達になれってこと? それは構わないけど……初佳さんは嫌じゃないの?」 「……は? なにが?」 「僕が他の女の子と仲良くなるの」 その答えに代わり、背中をばしんと叩かれる。 「ネクラのくせにそーゆー心配はしなくていいの。実際に篭絡して骨抜きにしてから考えろ」 あんたじゃどう頑張ってもせいぜい「いいお友達」止まりでしょうよ──というのは本人のプライドのために言わずにおいた。 ごほごほ噎せる貴也は涙目に、 「な、なにするんだよ」 「いーから寝なさい。真ん中のベッドでね。添い寝してあげようか?」 「い、いいよそんなの」 開き、そして閉められたカーテンの向こう側で、重苦しそうな衣装を脱ぎ捨てる雰囲気が伝わってくる。 それを見るとはなしに見ながら、初佳は思う──。 ブギーポップじゃなくても、世界は救える。ブギーポップはブギーポップなりのやり方で世界を守るように、 自分たちも自分たちなりのやり方で世界を救わなければならない。 きっとそれが、貴也を守ることにも繋がるのだろう、と。
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ここは萌えっ娘もんすたぁ掲示板の萌えもんでSSに投下されたSSを保管するところです。 読んで感想をもった人は現行スレにでも書き込んであげましょう。 現行スレ 【お前の愛を】萌えもんでSS その5【書かないか】 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40372/1201306339/l50 4スレ 【今この瞬間は】萌えもんでSS その4【嫁こそが全てだ!】 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40372/1199862335/l50 3スレ 【カイリュー】萌えもんでSS その3【はかいこうせんだ】 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40372/1197714694/l50 2スレ 【151の嫁】萌えもんでSS その2【無限大の婿】 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40372/1197300061/l50 1スレ 萌えもんでSS http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40372/1196863891/l50 萌えもんとは何か、については本家wikiを参照 編集する前に編集ガイドライン(仮)をご覧ください。 スレッド内でリレーSSが展開されています。詳しくはこちら チャットもできました。 2008/10/1付をもちまして、引越しいたしました! 旧チャットは使用できなくなったので、ブックマークをされている方は変更をお願いします。 いままで - 人の方が妄想の世界へ旅立たれ 今日来た - 人の方は帰ってきませんでした コメント 更新履歴やら雑談やらにお使いください 小ネタのページが縦に長く、見づらかったので#contentsを試験的に実装してみました。 -- (A) 2008-08-14 14 25 03 小ネタまとめ2が容量限界に達したので3を作成しました。以後追加はそちらに。あと一度レイアウトの関係で失敗したので、そちらのページには触れないようお願いします。申し訳ありません。 -- (A) 2008-09-09 23 23 35 チャットの方を10/1付をもちまして引越しいたしました。上記にも促しておきましたが、改めてブックマークの変更等宜しくお願いいたします。 -- (チャット管理人) 2008-09-30 22 28 54 これよりまた、管理業務を再開したいと思います。此処最近全く来れず、沢山の人に迷惑をかけてしまい申し訳御座いませんでした。 -- (保管庫管理人) 2008-10-18 19 55 56 ジャンル別まとめの1スレ分の纏めを行いました。まだ作者などの情報を入力していないので、後日入力したいと思っています -- (名無しさん) 2009-03-12 20 32 45 追記 ジャンル分けの方法は個人的に見た感想なので、訂正などをしてくれるとありがたいです。 -- (名無しさん) 2009-03-12 20 33 47 ・ページ作成失敗しました。 866 870 871 872 の頭に5スレが抜けてしまってます。編集できる方修正お願いします。 -- (名無しさん) 2010-12-15 00 34 16 とりあえず新規ページで名称が正しいのを作成しました。削除できる方間違えたほうの削除お願いします。 -- (名無しさん) 2010-12-15 00 44 52 ページ作成ミスりました。5スレ 887-1、5スレ 887-2ですが正しくは5スレ 888-2、5スレ 888-2でした。 -- (名無しさん) 2011-05-01 23 55 13 正しいものは作成しますので誤りの887の二つを削除願います。 -- (名無しさん) 2011-05-01 23 55 47 名前 コメント すべてのコメントを見る
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統和機構がエコーズを元に作り出した合成人間。 -- 名無しさん (2012-02-06 10 05 53) 元々は組織の施設にいたが脱走し、深陽学園に潜んでいた。 -- 名無しさん (2012-02-06 10 08 04) マンティコア(人食い)の名の通り人間を主食とする。 -- 名無しさん (2012-02-06 10 09 26) エコーズをモデルにしているので、オリジナルには劣るものの、変身能力と並外れた身体能力、強度を誇る。また体内で麻薬のような薬品を調合したり、人間を"薬品を作りそれを広める自我をなくした存在(スレイブ)"へと改造することも出来る。 -- 名無しさん (2012-02-06 10 12 35) 半ば暴走状態で施設を脱走したのだが、その後早乙女正美に出会ったことにより、自制と計画性を持ち、ブギーポップや組織の目を逃れていた。 -- 名無しさん (2012-02-06 10 16 30) 作中での主な姿は百合原美奈子のもの。霧間凪を殺した後は、凪になろうと計画していた。 -- 名無しさん (2012-02-06 10 17 46) このマンティコアが逃げたことにより、統和機構は変身能力を持った合成人間全てを危険視。一斉始末をすることになる。これを"マンティコア・ショック"と呼ぶ。 -- 名無しさん (2012-02-06 10 20 50) 逃亡したマンティコアを始末するために動いていたのは、スーパービルドのタルカス。 -- 名無しさん (2012-02-06 10 23 16) ブギーポップの糸でも、切断できず動きを止めただけだったところから見るに、他合成人間より身体能力や強度は高い可能性がある。 -- 名無しさん (2012-02-06 10 27 28) 百合原の姿そのものをコピーしたので、素の状態で化粧したような顔になっている。 -- 名無しさん (2012-02-06 10 30 22) 名前 コメント コードネーム ブギーポップは笑わない ブギーポップシリーズ 世界の敵 人名 合成人間 統和機構
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宇宙人、未来人、異世界人、超能力者。 あいつが求めてきたものはいつだって普通じゃないものたちだ。 だが良く考えたらそこに"魔法使い"とかファンタジーなものは無かったな。 そこがアイツにしてみれば常識という最後の一線なのかもしれない。 (俺にはまったく良くわからない線引きだが) だがすでに宇宙人、未来人、超能力者と遭遇した今となっては、 そんな奴らももしかしたら実際にいるのかもしれない、と思ってしまう。 例えば天使とか悪魔とか、――そう、死神とかな。 涼宮ハルヒの死神~ブギーポップ・レイトケース #1 不気味な泡の噂話 「キョン、"ブギーポップ"を探すわよ!」 世間ではキリスト教の祭典にあわせたバカ騒ぎに向けて、赤白緑の三色に色づき始める季節。 個人的には俺の根底を揺るがすようなパラレルワールドへの出来事の記憶も色あせない そんな季節に我らがSOS団団長、涼宮ハルヒはそうのたまった。 何の脈絡もないのはいつもの発作のようなものだから、いまさら驚きすらしないが…… 今回気になったのは、その中に聞きなれない単語が混じっていたことについてだ。 「何よその鳩が豆の顔は。 ブギーポップよ! ブ・ギ・ー・ポ・ッ・プ!」 「ちょっと待てハルヒ。なんだそのブギー……何とかさんとやらは」 「え、アンタもしかしてブギーポップ知らないの?」 まるで日の丸を知らない日本人を見たとでも言うかのように変なものを見るような目でこっちを見るハルヒ。 そんな目で見られても知らんもんは知らん。 「すみません涼宮さん、僕も不勉強でして。"ブギーポップ"というものを知らないのですが」 助け舟を出したのは意外にも机を挟み、アメリカ産の推理ボードゲームをしている古泉の奴だった。 おや、イエスマンであるこいつがこういう意見を言うのは珍しい。 「あ、あの……涼宮さん、その噂は女子の間でしか広まってないって、 確か鶴屋さんもそうおっしゃってました」 そう鈴の鳴るような声でおっしゃるのは朝比奈さん。 ああ、メイド服が今日も似合ってらっしゃいます。 「え、そうなの?」 「肯定。数ヶ月前から市内の女子学生を中心に流布しているものと推測される」 長門も本に目を落としたままフォロー。 今日も今日とて難しげな本を読んでいる。 題名は『VS.イマジネーター』か。心理学書か何かだろうか? 「いい? キョン、古泉君。ブギーポップってのはねぇ……」 それからハルヒたちが話してくれた話を要約するとこうだ。 曰く、黒尽くめで神出鬼没である。 曰く、男か女かわからない正体不明の存在である。 曰く、人が最も美しい時に殺してくれる――死神。 それらを聞いた俺が抱いた感想といえば。 「……アホ臭い」 その一言に尽きる。 10代特有の潔癖症とスーパーマンに対する憧れがフュージョンした様な人物像だ。 中学生のころに考えた小説にだって、もうちょっとましなものが出てくるに違いない。 「何よキョン!」 「……というかお前はそいつが実際にいると思うのか?」 「火の無いところに煙は立たないって言うでしょ!」 だったら口裂け女も人面犬も実在しているってことになりゃしないか。 まったくもって付き合ってられん。 ――と、春先までの俺ならその一言を一笑に付していただろう。 だが俺はもう知ってしまっている。 非日常は想像以上に日常のそばに近寄っているものなのだ、ということを。 その証拠にこの部屋には窓際で本を読む宇宙人、お茶を入れるメイド服を着た未来人、対面でゲームを行う超能力者がいるのだ。 この――それも近辺に"ブギーポップ"がいないとは言い切れないのだ、情けないことにな。 そんな俺の心境など知る由も無いハルヒは、いつも通り三重水素の核融合のような輝く笑顔で、 「というわけで、明日、いつものところに10時集合! もちろん遅れたら罰金だからね!」 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 下校チャイムが鳴ると同時、ハルヒは朝比奈さんと長門と連れ立ってどこかへ行ってしまった。 なんでも今日は『女の子限定イベント』らしい。意味がわからん。 結果的にその場に残された古泉と連れ立って帰路に着くこととなった。 話題は自然と、今日のハルヒの一言についてになる。 「……古泉、お前はどう思う。ブギーポップとやらについてなんか機関のほうで掴んでいないのか」 「"機関"というと大げさに聞こえますが、あなたが思っているほど大したものではありませんよ。 例えばあの"ムーンテンプル事件"についても、僕たちはほとんど把握していません」 通称、ムーンテンプル事件。 今から一年前、隣町のショッピングモールで起きた集団昏睡事件のことだ。 一時期はどのワイドショーもその話題で持ちきりだったが、時期とともにその建物の所有者であった寺月何某の仕業(なんでも大変な変わり者だったらしい)ということで決着が付いた。 当時中学生の俺たちには格好の話題だったがね。 「へぇ、そりゃ意外だな」 「ええ、途中で涼宮さんとは完全に無関係だと判断した時点で、調査する価値は僕らにとってありませんでしたからね」 「ならお前個人としてはどうなんだ。ブギーポップとやらは実在すると思うのか」 「さぁ? 現時点ではどんな手段をもってしても『ブギーポップがいない』とは言い切れない。 今回のコレはいわゆる悪魔の証明というやつでしょう?」 だから、そんなの抜きにしたお前の意見はどうなんだ。 「そうですね……いて欲しいような、いて欲しくないような、が正直なところですかね。 だってそうでしょう? もしもその噂に影響されて涼宮さんが物騒な考えに至ったとしたら……これは、ちょっとした恐怖ですよ」 馬鹿らしい。 アイツがそんな考えを好きじゃないのは、お前にだってわかっているだろ? 今回のコレだって、アイツにとって重要なのはブギーポップがいるかどうかじゃなくて "俺たちとブギーポップを探す"って行為が必要なだけだろうさ。 俺がそう返すと、古泉はいつもの困ったような笑みを浮かべた。 「それはそうですが……万が一、ということも考えてしまうんですよ。 僕の役割上どうしても、ね。 ……と、どうやらここでお別れのようです。では、また明日」 そう言い残し、古泉はY字路を左へ進む。 俺は当然右へと進み、そして歩きながら思考に埋没することにした。 人を殺す死神の噂――ハルヒも、朝日奈さんも、長門も知っていた。 だが女子とそれなりに接点のあるであろう(文化祭での黄色い声援を受けた姿を今でも思い出せる)古泉ですら知らなかった噂。 もちろん俺は聞いたこともない。 とりあえず家に帰ったらもっとも身近な女性陣である妹にでも聞いてみるとするかね―― 「きゃっ!」 ドンッ、と胸に軽い衝撃が走る。 考え事をしてたからなのか、交差点で出会い頭にぶつかってしまった。 しかも俺のほうはとっさに踏ん張ることができたが、相手の方は地面に倒れこんでしまった。 「す、すみません。大丈夫ですか?」 慌てて謝りつつ手をさし伸ばす。 ぶつかったのは大き目のスポルティングバッグ――部活の帰りだろうか――を抱えた女子高生。 カーキ色のカーディガンと赤いスカーフは市内でも有名なあの進学校、深陽学園のものだ。 「いえ、こっちこそごめんなさい。 君も怪我とか無かった?」 手を借りて、立ち上がった女子高生は深々とお辞儀する。 普段極端な女性陣と付き合ってるだけにこういうリアクションは逆に新鮮だ。 「ええ、大丈夫です」 「そっか、良かった。それじゃあ、私急いでるから」 そう言って彼女は踵を返し、軽快な足取りで道を行く。 何てことない後姿を数秒見送って、俺も背を向け再び家への進路をとった――その時だった。 「――なるほどね。確かにこの辺りにいるようだ」 「え?」 振り向くとそこにはさっきの女子高生がこっちをじっと見ていた。 そうだ、彼女は少し気になってふと後ろを振り返っただけに過ぎない。 だからこれはなんでもない光景のはずだ。 だが何故か、俺はその表情がやたらと印象に残った。 笑うでもない。泣くでもない。かといって無表情という訳でもない不思議な表情。 長門のそれとも違う左右非対称の歪んだ顔は、まるで彼女が別の存在であるのかのように錯覚させる。 この感覚は何と例えればいいのか。 まるで違うものがそこにいる、例えば空を魚が飛んでいるような、――そんな奇妙な感覚だった。 ……しかしながらしばらくすると、彼女はどこか照れたような笑みを浮かべた。 その瞬間、この奇妙な雰囲気は霧散した。 彼女はペコリ、と頭を下げると再び背を向けて歩き出した。 しばらく呆然とその背中を見送っていた俺だが、帰路へと付いた。 もちろんこれ以上のイベントなどあるはずもなく、家へと到着することができた。 だからこの件もここまでのはずだと、俺は心のどこかで思って――いや、願ってたんだろうよ。 だがこれがあの騒動の始まりになるとは、この時点の俺に予想などできるはずも無いんだ、これが。 #2 不気味な泡の影 に続く